AnotherVision Countdown Calendar 2019

AnotherVisionメンバーによる"Countdown Calendar"を2019年もお届けします

僕は偉い人なのです。

怒られたくないので最初に訂正しておきますね。僕は“偉さ”の人なのです。タイトルで釣ってごめんなさい。

 

 

 

気を取り直してこんにちは!AnotherVision6期のろく(@6_6_roku)です。

 

今日は「謎解きの“面白さ”を分析してみよう!」というテーマで書いていこうと思います。自分で決めといてアレですがハードルがすごく高いですね……。

 

せめてRevolverディレクターの2人より前の日程にしてもらっていたら気が楽だったかも、という後悔もありつつ、実は少し嬉しいことがありまして。以下は件の偉大な先輩、ひんがしさんの記事*1からの引用です。

 

もちろん「面白さの基準」なんて曖昧なもので、そもそも一人一人この基準は異なります。 しかし、だからこそ、制作で目指す方向性を明確にするために自分なりの「面白さの基準」を説明できることはとっっても大事だと思うのです。 一度「謎解きってどうして面白いんだろう」を自分なりに深掘りしてみてください。きっと僕とは違う結論に辿り着くはずです。 というか今回は「謎」に絞って話をしたけど謎解きゲームって謎だけじゃないからね!!ストーリーなり体験なりコミュニケーションなり他にももっと面白い要素あるもんね!

謎解きってなんだー! - AnotherVision Countdown Calendar 2019

 

こういうわけで僕なりに謎解きゲーム全体の“面白さ”というやつを分析してみようと思うのです。すごい!前書きがとっても楽!!

 

例によって(?)何の裏打ちも無く個人的に考えたことを書き連ねているだけなので、参考程度に読んでくださいね。 

僕は偉い人なので偉そうに語りますが大目にみてください。

 

 

 

 

1.自己紹介 

とりあえずざっくりと。

 

去年の駒場祭で「サイフアーカイブ」の、そして今年の五月祭で「近見知新聞解読依頼」の制作指揮を務めておりました。他にもいろいろな制作に首を突っ込んでは雑にちょっかいを出していい感じに手助けしています。謎を作ったりテキストを書いたりもしますが、最近はこの“いい感じに手助け”を仕事にしていることが多いですね。具体的な内容は後述します。

 

余所行きの自己紹介はこんなところで。本筋に関係しそうなのはこれだけです。

残りはただのオタクの自分語りになってしまったので小さくしておきました。

僕にめちゃくちゃ興味がある人や、暇で暇でしょうがないって人だけどうぞ。それ以外の人は本題の2.ってとこに進んでください。

 

あらためまして、ろくです。6期です。学年の話はやめておきましょう*2。アナビの他には登山がメインのアウトドアサークルに所属してます。趣味はゲームで、暇があったらだいたいゲームしてますね。今(というか、ここ5年くらいずっと)ハマっているのがハースストーンというデジタルカードゲーム。本当はこれについて語る記事を投稿したかったんですが閲覧数1桁の未来が見えたのでやめました。どういうゲームかってのは説明が大変なので適当に動画見てください。オススメはTansokuさんとかAsmodaiとか*3。見ても面白さがわからなかったら僕に聞いてくれれば時間の許す限り語ります。ポケモンとかダクソとかやってた時期もあったんですが、最近はもう新しいゲームを買っても結局積んで(酷いときは開封すらせずに)ハースストーンに戻ってきちゃうんですよね。そんな感じのハマり方です。あとVtuber*4とか漫画*5も浅瀬で楽しんでます。

 

 

2.強さとズルさと偉さ

元は謎解きとは無関係な対戦ゲームの考察で使われていたのを僕が気に入って使っているものです。

 

このパラメータの分け方に見覚えのある方、おめでとうございます!あなたは恐らくかつての僕と同じ畑のオタクです。

 

そして見覚えの無い方もおめでとうございます!今回これらの言葉はラベルとして借りるだけで元々の文脈とは全く違う使い方をするので、余計な先入観は無い方が良いです。そもそも謎解きって対戦ゲームじゃないですからね。

 

2-1.強さ

「これ一体どこから作ったんだ……?」

そんな感想を抱くこと、ありませんか*6

 

ある1枚謎が5回解き直せたら“強い”ですよね。

大謎で伏線が10個回収されたら“強い”ですよね。

 

謎の緻密さ、実装の難しさ、そして意外さといったものを包括的に示したパラメータ。

僕が“強さ”と呼ぶのはそうした、謎それ自体の面白さです*7

 

解説で「おおー」とか「ああー」とか言われるのはだいたいこれに起因すると思います。

 

メルヴィンが好む要素、と言うと伝わりやすい人もいるでしょうか*8

 

2-2.ズルさ

サイフや新聞についていただいた感想には、「こんなの楽しいに決まってるから“ズル”じゃん!」といったようなものが多かったように感じます。そんな風に思っていただけたのなら、まさに制作陣の狙い通りで嬉しい限りです。

 

本物の財布や新聞を模したキットを使って謎解きができたら。

剣と魔法の世界に入って自らの手でお姫様を救えたら。

ディストピア世界でルールの裏をかいて管理者を欺くことができたら。

 

そんなの、楽しいに決まってますよね。

 

僕が“ズルさ”と呼ぶのはそうした、コンテンツのテーマの面白さです。

 

そしてこれは告知時点で見える“面白そうさ”に大きく寄与します。

 

ヴォーソスが好む要素、とも言えます。

 

2-3.偉さ

これは上の2つとは決定的に性質の異なるものです。

 

想像してみてください。

 

ある1枚謎を5回解き直し、ようやくたどり着いた大謎の答えがパッと見でメタ読みできてしまった瞬間を。

ルールの裏をかいて管理者を欺き、管理端末に解放コード「タピオカミルクティー」を打ち込む瞬間を。

 

最悪ですよね。

 

どんなに“強くて”“ズルい”コンテンツも、細部のこだわりを捨てれば台無しになってしまうのです。

それ自体が面白さとしてプレーヤーに意識されることは少ないけれど、欠落しているとせっかくの面白さが損なわれてしまうようなもの。

僕が“偉さ”と呼ぶのはそうした、“強さ”や“ズルさ”を支える土台となるものです。

 

“偉さ”を欠く例は上に挙げた以外にもたくさんあります。

 

不要なミスリードが多い。テキストの解釈が割れうる。表記揺れがある。作業が多すぎる。世界の設定に矛盾がある。ストーリー上の動機とゲームにおいて取るべき行動が繋がらない。紙がツルツルすぎて鉛筆で書きにくい。そもそもフォントが読みにくい。などなど*9

 

世に出る段階でこれらは全て解消されていることが理想です。

 

3.それで?

この3つのパラメータを用いることによって、僕は自分の“面白さ”の解像度をある程度高めることができたと思っています。

 

「面白い!」「面白くない!」と感じたとき、それらをもう一歩踏み込んで言語化する足がかりになる。

 

「あれ強さで殴るコンテンツだと思ってたけどよく考えたらズルさもあったのか」「ズルすぎる〜〜〜すき〜〜〜*10」「ズルくて強めだけどちょっと偉さに欠くかなあ」とかそんな感じで。

 

これは制作者としてはすごく嬉しくて、自分の思考の整理に繋がるのはもちろん、他の人に意見を伝える際によりクリアな言葉にして伝えることができるようになるのです。

 

例えば僕は“ズルさ”に頼りがちなのでよく「ん〜〜〜強さが足りないよね〜〜〜*11」みたいなことを言ったりします。

 

ここでまたひんがしさんに登場していただきましょう。

 

 

「曖昧な感情を一度掘り下げて自分の言葉で表現した」という事実は、 「面白さを評価・改善する」際に役に立つ、と思っています。 少し前でも話したように、基本的にアイディア出しはガチャです。面白いアイディアだけをぽんぽん生み出すことができるのは本当に一握りの天才だけです。 なので凡人の我々にできることは何でもいいからアイディアを出し続けて、その中からダイヤの原石を発見することです。 原石を見つけるためには、アイディアの良し悪しを見分けるための「面白さの基準」を持っている必要があります。 個人制作では、「なんとなく面白いからこれでいこう!」でもやっていけますが、チームでの制作となると「面白さを説明できること」「他人のアイディアの面白さを分析、改善できること」はめちゃくちゃ大事になってきます。

謎解きってなんだー! - AnotherVision Countdown Calendar 2019

 

そういうことです。 

 

一応“面白さ”の分析はここまでで、以下はおまけ。

 

 

4.偉さの人として

ここまで来るとタイトルの意味もわかっていただけたのではないでしょうか。そう、僕は“偉さ”の人なのです。

 

ストーリーから考えれば今解いている謎に関係するはずのないアイテムが「同じ模様だから」みたいな理由で謎に使われていたりすると、それはもうすごい勢いで萎えてしまう人なのです*12

 

そういう人が制作をどう“いい感じに手助け”していくか。

やることは単純で、自分の偉さレーダーに引っかかるポイントをひたすら突っついて潰していくだけです。

 

アナビには僕と同じかそれ以上に“偉さ”に敏感な人がわんさかいます。

 

そんな人たちと協力しながら、あらゆる箇所をブラッシュアップしていく。

 

謎の、ひいては謎に付随する体験の価値を最大限に高めるべく。

 

その謎が初めから完成した状態で天から降ってきたのではと思わせるほどに。

そのコンテンツ世界がこの宇宙のどこかに実在するのではと思わせるほどに。

 

自分たちの作為の影をプレーヤーに気取られすらしないことを願って。

 

 

 

僕はこの“偉さ”をひたすら高めていく作業が大好きなのです*13

 

 

 

 

 

 

*1:もはや永久保存版の教科書。

*2:自称偉い人なのに留年……妙だな……。

*3:Tansokuさんのチャンネル:YouTube、Asmoのチャンネル:Twitch
2人とも世界大会出るレベルのプレーヤーなのにめちゃくちゃ楽しそうにゲームするから好き。

*4:二人組とかでわちゃわちゃしてるのを見るのが好き。オススメいたら教えてください。僕の推しはルキロキでした……。

*5:今は鬼滅とか約ネバとか。あとPSYREN読んで大好きになった。

*6:もし無いのならシェアギミやECOやXワードをやりましょう。

*7:この内部についてのさらに細かい分析は、やっぱりひんがしさんの記事を読んでください。

*8:イベントを作るということ -性格と価値観の話- - AnotherVision Countdown Calendar2017
参考にさせていただきました。僕は何回覚えようとしてもメルヴィンとヴォーソスのどっちがどっちだったかわかんなくなっちゃうので自分でラベルを作ったのです。

*9:全部「こんなのあったら嫌だな。」を想像で書いています。想像ですよ。

*10:言語化とは?

*11:よりクリアな言葉とは?

*12:想像ですよ。

*13:こういうタイトル回収はちょっと“ズルい”かもしれませんね。